歳時記「七五三」

【七五三】

 

早くも十一月です。十一月になるとすぐに立冬がきます。2022年の今年は11月7日が立冬となります。暦の上とはいえ早くも冬が来るのですね。秋が来たかと思えば、もうすぐ冬なんですね。何だか寂しいような気がしますが暦は待ってはくれないものですが、果たして今年は寒い冬でしょうかどうなのでしょう。温暖化は進み海流の変化が気になりますが、それでも冬は以外に厳しくなるかも知れません。日本海側では雪が多く関東では例年並みかやや寒いのではないかという気象庁の予想ですが、いったいどうなるのか想像できないようです。

秋の心地良い爽やかな気候から寒くなると、今年は厳しい冬が来るのかもしれないと考えますが、どうも解らない気候の変動が問題になっていますね。そんな2022年にも十一月ともなれば、毎年「七五三」があります。

11月15日を目安にお祝いしていますが、その齢のお子さんがいるお宅では、一生に一度きりの大切な行事です。まだまだコロナ禍ではありますが、たとえ自粛体制であろうとお祝いはお祝いとして掛け替えのないものです。やはりこうした行事はその意味を正しく理解して何時までの伝えて行きたいですね。そこで少し解りやすくまとめてご紹介しますね。

 

三歳の祝い「髪置」

男女を問わず三歳の成長を祝う行事。

赤子の髪は剃るものだったが三歳になると髪を伸ばして整える。

五歳の祝い「袴着」

男子の儀式。初めて袴を着ることを祝う行事。

七歳の祝い「帯解」

女子の儀式。付け帯から初めて大人の帯を付けることを祝う行事。

 

当たり前のように慣習として認識しているつもりでいますが、意外に忘れている古風な行事です。現代は少子化が問題視されていますが、昔は子供から大人へ成長するまでに沢山の試練があったんですね。医学が進歩した現代でも命を授かり大人として成長することはそれだけでまるで奇跡です。

可愛らしい七五三のお祝いの姿をしている子供連れの家族を見ると、忙しく生きる現代の人間でも、やはりお祝いしたくなる目出度い行事です。

 

11月の兼題「餅」

11月の兼題「餅」

餅は正月用に多く用いられて、お正月に食べるために搗くので新年の前に行われるとして冬の季語になっています。「年用意」などと同じですね。

ちょうど11月になると徐々にお正月の準備をし始めたのが昔の人の生活でした。今ではクリスマスや年末商戦が賑やかで、まだまだお正月の準備には早いものですが、お餅そのものは一年中ありますね。

また、新米が出回る頃ですので、もち米にも美味しい新米が出来るのだと思います。

お餅と言えば「餅搗」がやはり一番すぐに思い出されますが、各家庭で食べる餅は、家で搗く場合と賃餅(ちんもち)といって餅屋や米屋に注文して搗いてもらう場合がありました。かつては道具を担いで市を回り、餅搗唄に合わせて餅を搗く稼業があったといいます。現代では、電気の餅搗き機が多くなりました。

田舎でも杵と臼で餅搗をする姿はほとんど見かけなくなりましたね。

傍題には「餅搗」「餅米洗ふ」「餅搗唄」「賃餅」「餅筵」「餅配」なと。

 

11月のオンライン句会

今月のオンライン句会投句の講評

No1ブロック

4の句 美しき菊わが庭を選び咲く

菊に選ばれた庭とはどんな庭なのか、さぞ立派なお庭だろうと思いますが、意外なお庭なのかも知れませんね。そんな想像力を駆り立てられるようなところが面白いです。

No2ブロック

2の句  役目終え文字の消えかけ捨案山子

案山子が少ない東京暮らしには、捨て案山子を実際に見ることはなかなかできませんが、この時期にはお疲れ様の案山子のコミカルな姿が目に浮かびます。

No3ブロック

4の句 菊に雨こころの友に思い馳せ

「菊に雨」が効いていますね。「の」か「に」は短いだけに悩みますが、菊の様な素敵なお友達がいたのでしょうか。クラス会の集まりでも3年ぶりにあったのかも知れませんね。

No4ブロック

1の句 バス待ちの薄着を濡らす菊の雨

菊の咲く初秋の時期を詠まれていて、作者の情景が浮かびます。菊のような雨とはいい香りの恵みの雨でしょうか。少しづつ寒くなる薄着というところが面白いですね。「羅・うすもの」や「薄衣」だと夏の季語ですが、「薄着」なら夏だけに限らないという俳句特有の面白さもありいい句です。

No5ブロック

2の句 上手くなれ句集眺める夕時雨

句集を詠みながらご自分も上手くなりたいという想いがストレートに伝わり共感を呼ぶ秀句です。

<総評>

今回のお題が「菊」だったので、美しい句が多かったです。重陽の節供は9月9日なのでもう少し「野菊」や「紫苑」のような自然に咲く秋らしい句が多いかと思いましたが、案外、生活にそった現代の句が集まり面白かったです。

(11月1日)

10月の投句一覧

亡き父の郷より届く今年米
秋晴れや空の青さに背伸びして
菊の香を頼りに合わす手にお数珠
美しき菊わが庭を選び咲く
幼子をなぜに泣かせる菊人形
役目終え文字の消えかけ捨案山子
野菊咲くこの坂登る齢数え
菊の庭こんな私に詩を赦せ
円きものすべて愛しき手毬菊
山粧う川面に移る嵐山
今年また野菊の坂を里帰り
菊に雨こころの友に思い馳せ
バス待ちの薄着を濡らす菊の雨
山の宿友と浴びる湯秋月夜
紫苑咲くこの空はいつまでも広く
菊まつり野生の菊をのちに見む
気が付けば仏壇菊も途絶えがち
上手くなれ句集眺める夕時雨
花びらを一ひら散らし菊酒飲む
黄菊の朝の挨拶溢れ咲く

(10月〆切り分)

月の点盛りの結果 

3点句
盆踊り輪に交われば土地の人     
踊り終え闇へ散りぢり解けゆく    

2点句
盆踊自転しながら公転し       
あぜ赤く一直線に彼岸花       
「いい女」踊浴衣で気取る夜     

1点句
和太鼓の響きに町は盆踊り      
盆踊り宇宙をぐるり一回り      
盆踊手も触れぬまま初デート     
赤とんぼ田んぼの上のヘリコプター  

次回の投句&選句ご案内リンクなど

オンライン句会LP画面はこちらから https://onlinekukai.jimdofree.com/?preview_sid=573194

10月の兼題「菊」

10月の兼題「菊」

菊の原産は中国大陸。日本には奈良時代以降に渡来、江戸時代に改良が進み、四君子の一つとされています。四君子(しくんし)とは、蘭、竹、菊、梅の4種を、草木の中の君子として称えた言葉。

菊は、品種が非常に多く、花色は白、黄、桃、紅など様々です。園芸上は大菊、中菊、小菊に分かれて、花の形状により管物(くだもの)、厚物、平物などに分けられます。その系統として、嵯峨菊、伊勢菊、肥後菊、美濃菊、江戸菊、奥州菊などがあります。また、花を食用とする品種もあります。鑑賞用として世界中で栽培されています。

俳句では、春の桜と並び称されている日本の代表的な花です。菊の花には延命長寿の滋液が含まれるという伝説があり、平安時代の宮廷では菊酒を賜る行事が行われたといいます。これが9月9日の重陽の節句です。

江戸時代以降は園芸用の多彩な品種が栽培されるようになるので、庶民にも人気が高まり菊花展などで競われています。明治以降には重陽の菊祭りに変わって菊人形などの飾りを競う行事が盛んになりました。

傍題には、「重九」「菊の節句」「菊の日」「今日の菊」「菊酒」「菊の宴」「重陽の宴」など。

 

 

歳時記「秋の七草」

秋のお彼岸を過ぎるとやっと残暑がおさまりますが、この頃の猛暑では、まだまだ気温がいつ上昇するのか何だか不安なままで10月を迎えました。

こんなに先の見通しがつかない不透明な時代はコロナ禍だからに違いありませんが、今度こそ少しでも早く終焉収束が来てほしいです。

そんなこんなでバタバタといつの間にか10月ですが、この時期には毎年月が美しく、お月見が楽しみです。夜空の月を見ながら一献なんて粋な夜を過ごしたいものですが、2022年の十五夜様は以外に早く9月中に過ぎてしまいましたね。

それでも10月には十三夜が待ち構えています。今年は10月8日の土曜日がその日に当たります。十三夜は「栗名月」や「豆名月」と呼ばれています。十五夜と同じようにススキやお団子をお供えしますが、旬の栗や豆をお供えするところから「栗名月」「豆名月」と呼ばれ、十三夜というと十五夜の後の月見として、秋の美しい月とされています。十三夜というくらいなので、十五夜の満月になる少し前の欠けた月の微妙な形がまた日本人の風情を掻き立てるようです。

この十三夜には、やはりお月見団子が欠かせませんが、十三夜と言いますからお団子も十三個が縁起がいいらしいです。そして秋の七草を飾ります。代表的な草花が芒ですね。これは十五夜とまったく同じです。勿論、その時に咲いている七草を一緒にかがるとさらに素敵ですね。

秋の七草は、都会ではなかなか見かけません。自然に摘んで飾ることは難しいので現代では魔除けにもなる芒が一番だということなのでしょう。

秋の七草は山上憶良の和歌が有名ですね。「秋の野に咲きたる花を指(および)折り かき数(かぞ)ふれば七種(ななくさ)の花」という和歌と「萩の花尾花(おばな)葛花(くずばな)なでしこの花女郎花(おみなえし)また藤袴朝貌(あさがお)の花」という二首があります。こうしてみると秋の七草を鑑賞する習わしは、平安時代の頃からあったのです。その頃の朝顔とは今の桔梗だと言われています。

また、萩の花は、平安の万葉集の時代には最も多く詠まれていた秋の七草のようです。山上憶良の和歌にもありますが、最後に七草を七種類上げておきます。

萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、藤袴、朝顔。

萩の花地より生え出て地に引かれ・・・上野貴子

 

歳時記「重陽の節句」

九月になると重陽の節句があります。菊祭りと昔は言いましたね。この頃はいつまでも夏が長く残暑が厳しいせいなのでしょうか。この時期にあまり菊の花を愛でる姿を町で見かけなくなりました。

昔は菊の鉢を大切に育てている盆栽好きのお父さんがよくいましたが、この頃はそんなお父さんはどこに行ってしまったのでしょうか。

重陽の節句は五節句の一つで、人日の七草、雛祭り、端午の節句、七夕、重陽の節句、これで一年の節句が五回あるので五節句と言っていました。

時代は変わり暦の通りに季節が変化しているとは限らなくなり、いつの間にか祝日でもない五節句は忘れてしまいがちです。

そんな、五節句のひとつの菊祭りでは、昔は菊酒を飲んだものです。菊を浮かせたり、漬けこんだりして、菊の花の効能が長寿の薬だと言われていたところから菊酒は生まれたといいます。昔は不老長寿を祝うこの日が五節句の中で最も大切な日とされていました。

その他には「菊綿」という行事があり、前の晩に菊花に真綿をまとわせ、そこに降りた露で身体を拭い、邪気を祓ったのだといいます。

菊綿はさすがに現代ではなかなかできませんが、食用の菊で、菊酒を飲むことは十分できますね。黄色い菊お花がお酒の盃に浮いている姿は何ともいえない日本的な情緒を感じます。いい香りがしてきそうです。

重陽は9月9日とされていて9の字が重なるので重陽と呼ばれています。古くはもっと解りやすく重九とも云ったそうです。昔はとても盛んでしたが、日本では明治以降の近代文化の伝来とともに急速に廃れているようです。

やはり暦が今のグレゴリオ暦に変わったのも明治時代ですから、暦の変化が、人々の生活の風習を大きく変えていったのですね。

菊の花の香りはとても華やかですが、どこか寂し気で哀愁を感じるのは、こうした時代の流れに押し流された歴史がかもち出す情緒の為なのでしょう。

いつか忘れかけていた重陽の菊祭りを忙しい令和の現代の人々にも思い出して欲しいものです。菊祭りは菊人形が飾られる冬になってからが、この頃ではほとんどになりました。菊の花とともに重陽の節句があることをいつまでも忘れずに伝えて行きたいと私は考えます。俳句にはそうした日本の歴史を大切に継承するような文化が、まだまだ生きずいています。

菊香る金箔沈む盃に浮き・・・上野貴子

 

歳時記「秋彼岸」

【秋彼岸】秋の季語

9月にはお彼岸があります。9月の秋分の日を中日として前後3日の7日間を彼岸といいます。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われていたように、この頃から過ごし易くなり秋涼の気が定まります。

春の彼岸に対して、後の彼岸とも呼ばれ、単に彼岸と言えば春の彼岸のことで、秋の彼岸は「秋彼岸」「後の彼岸」といいます。

扉開け線香焚く朝秋彼岸・・・貴子

 

 

9月の兼題「盆踊り」

9月の兼題「盆踊り」

「踊」と言えば秋の季語で、盆踊りの事をいいます。
盆とその前後に、広場や社寺の境内や砂浜などで行われる。

ほんらいは先祖の供養のためであったものが娯楽になり、浴衣がけの男女が音頭に合わせて夜の更けるのを忘れて踊るようになった。

土地によっては町中を歌い踊りながら練り歩くものもあるが、多くは輪になって踊る。

傍題に、「踊」「踊子」「踊笠」「踊太鼓」「踊櫓(おどりやぐら)」など。